オニバス池周辺の生き物たち(令和7年)
2025年5月
2025-05-24

5月23日、水を入れ始めたオニバス池でコオイムシのお父さんが卵を背負っていました。
オニバス池では、2022年の7月30日にも一度、卵を背負ったお父さんコオイムシを見かけています。
個人的にはまだ2回しか見ていませんが、おそらく、ここ於大公園のオニバス池ではコオイムシの暮らしが連綿と続いているのでしょう。
ところで、オニバス池に水を入れ始めたのは5月18日からですから、わずか5日ほどで既に卵を抱えているということになります。
コオイムシはオスが求愛してメスが答える種属のようですから、このお父さん、仕事が早いできるヤツ、なのではないでしょうか。

ホウネンエビも出ていました。
水を入れ始めてから5日、まだ30センチメートルほどの水位で満水に達していませんが既に1センチメートルあるか無いかの大きさの個体が泳いでいました。
ホウネンエビは毎年たくさん出てきてくれています。
そして、こちらもコオイムシに負けず劣らず仕事が早いわけですが、なぜか「できるヤツ」感は全くありません。
あの、のんびりとした癒し系の動きのせいでしょうか。

アミメアリが長い長い行列を作っていました。
今年も、大行列の時期に入ったようです。
アミメアリと言えば、特定の巣を持たないこと、女王アリが居らずみんなが卵を産むこと、そのため一つのコロニーの個体数が桁違いに多いこと、そしてそのものすごい数で行列するのが大好きなことで知られるアリです。
他にも、日差しが苦手で、動きがゆっくりで、新鮮な食べ物でなければ食べないことなどが特徴です。
おとなしい性格なので、行列の中に指を入れても登ってくることは無く皆避けて行ってくれます。
アリの仲間としては珍しい、癒し系の種です。

このはな館の窓にオスのマミジロハエトリ。
頭胸部の先端、眼の上、眉が有りそうなところが白いので眉白蝿取。
小さめのハエを捕まえたのでしょうか、何か食べていました。
写真の個体は白眉がまだはっきりしていません。まだ、幼さが残る年頃なのでしょう。

オニバス池のキウイが今年も成長を始めていました。
今まで、気づいていませんでしたが、新葉は紫色の毛で覆われていて、見る角度によって独特の光沢が表れてとても綺麗です。
見ていて飽きない美しさがあるのではないでしょうか。

ヤマノイモもあちらこちらで芽吹いていますが、こちらも新葉は光の当たり方で変化する独特の輝きを放っています。
そして、こちらも見ていて飽きません。

5月24日、水を入れているオニバス池にカルガモのカップルが来ていました。
毎年、水を入れ始めてある程度溜まると必ず姿を見せてくれます。
そして、2、3日居たり居なかったりした後、満水になる頃には姿を見せなくなります。
どんな理由があってそんな事をしているのか、ちょっと事情を聞いてみたいところです。
2025-05-12

薬草園でドクダミの蕾が出ていました。
なんとも言えない柔らかそうな、優しそうな形をしています。
ドクダミの蕾
そして、先っちょがちょっと曲がっています。
どうして曲げているのでしょうね。

その近くに巨大なスミレがいました。写真の中の樹の根元右側の個体です。
葉の大きさを計測
各部の形から見ておそらくコスミレですが、サイズが尋常ではありません。葉の長さが12センチメートルを超えていて、サイズ的にはスミレサイシン並で、普通のスミレの大きさではありません。
ちなみに、根元左側にいるコスミレは普通の大きさのコスミレです。
比べると、形はほとんど同じですが、大きさは大人と赤ん坊くらいの差があります。
この2株、このわずかな距離で、この差です。
いったい何が起こっているのでしょう。
種を飛ばした後の果実
ところで、花の時期にその存在に気付かなかったので、花を見ていませんが、果実も大きい株の方が大きいようです(タネを飛ばした後のもので、手で持っている方が大きい株のもの)。
もしかして、花も大きかったりしたんでしょうか。来年、気をつけて見てみましょう。
2025-05-10

5月6日、雨の火曜日、薬草園のアオギリの樹皮が濡れていました。
普段乾いている時でも、アオギリの名前の通り青緑色をしていますが、濡れると青みが際立ってとても綺麗です。
アオギリ
右の写真は枝の切り跡を写したものですが、色味のせいでしょうか、何物かの巨大な目玉のようで不気味面白い様子でした。

やはり、5月6日、ミズキの花が咲き始めていました。
こちらも、雨に濡れて独特の艶が出ていて、とても綺麗でした。
雨は雨で悪くない、と思わせてくれる瞬間です。

5月8日、カキノキの花芽が出ていました。
厚みがあって頑丈そうな4枚の萼片は開いているように見えますが、花弁の出口はしっかり閉じています。
カキノキの蕾
蕾の時点ですでに付け根の部分が膨らんでいますが、この中に花弁や果実の元となる子房が収まっているのでしょう。
ところで、カキの果実は枝との付け根側ではなく、萼片の先で膨らんでいます。つまり、今の状態とは萼片を境にして反対側で膨らんでいます。受粉すると現在ふくらんでいる部分が大きくなりながらせり出てくるのでしょうか。
これまで、カキノキの蕾から実ができるまでをじっくり観察したことがありませんでした。今回、たまたま目について気になってしまったので、しばらく観察を続けてみようかと思っています。

5月3日の記事で、今年もバックヤードのオニバス栽培用バットにホウネンエビが現れたと書きましたが、少し遅れてもう一つのバットにも現れました。
先に報告したバットにはオスメス1匹ずつ、計2匹現れましたが、今回のバットにはメス3匹でした。
最初のバットのメスはすでに卵を抱えており、オスは相手にしてもらっていなさそうだったので隣のメスしかいないバットに移動してみました。
ホウネンエビの番
そうしたら早速1匹のメスにアプローチしていました。
この跡、3匹のメスたちは皆卵を抱えることになるのでしょうか。オスの活躍に期待したいところです。
ちなみに、右から寄り添っている緑っぽいのが雄です。
2025-05-03

バックヤードで栽培中のオニバスたちのバットにホウネンエビが出てきました。
4月22日に水を張りましたから、およそ10日ほどで、孵化して1センチメートルほどの大きさまで育っています。
今の所2匹ですが、このあとさらに孵化してきたりするのでしょうか。
しばらくの間、目が離せません。

マユミの花が咲き始めました。
この花、大きさは1.5センチメートルほどありますが、花弁の色が若干緑がかっているうえ、線が細い感じでとても地味な見た目をしています。
そのため、通りかかる人のほとんどが花の存在に気がついていません。
でも、虫たちはちゃんと気づいているようで、大勢集まってしっかり蜜をもらって、その対価としてちゃんと花粉を運んでいるようです。
マユミとしては、われわれ人の関心は惹かなくてもちゃんと目的を果たしているのでしょう。
2025年4月
2025-04-29

4月28日、オニバス池の観察用バットでメスのギンヤンマが羽化していました。
ただ、残念なことに右後翅が不完全な形になっています。
そのためでしょうか、午前10時44分になっても飛び立てずにいました。
その後、午後3時頃、様子を見に行ったら、いなくなっていました。
この状態でも無事に飛び立っていったのか、それとも、誰かに捕まってしまったのか。
変態をする昆虫は、時々失敗している個体を見ます。やはり、一旦体を溶かして新たに作り直す変態という作業は大変なことなのでしょう。
ヤゴの抜け殻
下に抜け殻が落ちていました。
これを見るかぎり、ヤゴの時点では問題があるようには見えなかったでしょうね。

ハナズオウの果実を落としていたら、目の前をネコハエトリが横切っていきました。
久しぶりに立派なオスの個体に出会えたので、写真を撮らせてもらいました。
ネコハエトリ
オスは頭胸部が真っ黒でとても雄々しい印象を与える種族です。
ネコハエトリは、ホンチと呼ばれる虫相撲で活躍している種族ということなので、きっと、他のハエトリグモよりケンカっ早い性格なのでしょう。

ムベの花が終わり果実が出来始めています。
大きくなると、いかにも果実らしい見た目になりますが、出来始めは何かの芋虫のような形をしています。
ある意味、これはこれで美味しそう、と言えるのかもしれません。

4月25日、タラヨウの花が満開でした。
この種族は雌雄異株で、オスの樹とメスの樹がありますが、於大公園ではすぐ隣に並んで植えられています。
左の写真は雄花で、花粉を湛えた雄しべと花弁で出来ています。
タラヨウの雌花
右の写真は雌花で、立派な雌しべと花弁、それに花粉を持たない出来損ないのような雄しべで出来ています。
色味が地味で小さな花ですが、たくさん固まって咲くので、思いのほか目立っていました。
花が終わると実がなりますが、秋になると赤く色づき、こちらも思いのほか目を引きます。

メグスリノキが花を咲かせていました。
メグスリノキも雌雄異株の種族で、於大公園のものは雌花を咲かせていますから、雌株ということでしょう。1本しかいないのが、ちょっと寂しいかもしれません。
カエデの仲間らしい形の花を咲かせていますが、全体が白い毛で覆われているところと大きめの立派な雌蕊がくるくる巻いている様子が印象的です。
2025-04-27

4月23日、雨宿りをしているウロコアシナガグモに会いました。
透明感のある緑色の体に、4眼ずつ2列に並ぶ8つの黒い瞳がとてもキュートな種属です。
アシナガグモの仲間なので、網を張りますが、この写真のように網の上にいない状態からも狩りをすることがあるそうです。
融通の効く質のようですが、網も使うし徘徊もするという、進化の新たな段階に入った種だったりするのでしょうか。それとも、太古の時代のまだ網を張らなかった頃に戻りつつあったりするのでしょうか。

クロスジギンヤンマのメスでしょうか。道でじっとしていました。
クロスジギンヤンマ
クロスジギンヤンマ
なんだか元気がなく、右の写真を撮るためにカメラを近づけても逃げる気色がありません。
道の真ん中にいたので、踏まれたり轢かれたりしないようにすぐ横のクワの根元に移動しましたが、その際も捕まえられることにほとんど抵抗しませんでした。
周りに水場は全くありません。ですので、羽化したばかりとか、羽化に失敗して動けないとかいうことではないような気がしますが、この時期すでに寿命ということもないような気がします(そもそも、見た目はとても若々しく綺麗で、どこも損傷していません)。
その後しばらくして見に行ったらいなくなっていました。一体何事だったのか、気になるところです。

クワキヨコバイでしょうか。
クワキヨコバイ
オニバス池で草取りをしていたら、目の前を横切って行きました。
結構なジャンプ力の持ち主なので、一度跳ばれると簡単に見失ってしまいますが、今回は写真を撮る間あまり動かずにいてくれました。
その、あまり動かずにいてくれている間、体を左右にゆっくり揺り動かしていました。第3脚はほとんど動かさず第1脚で体を大きく左右に振るので、尾端を軸に振り子運動をしているかのような動きです。
右の写真は、体を右に振り切った時を写したものです。よく見ていただくと、第1脚が右脚と左脚で折れ曲がり方が違っているのがお分かりいただけるのではないでしょうか。
気になるのは、何を思ってそんな動きをしているのか、ということですね。

マレットゴルフ18番ホールと薬草園の境目にいるアケビの葉をクワトゲエダシャクの幼虫が齧っていました。
クワトゲエダシャクの幼虫
桑畑が減ってしまって個体数が激減している、などと言われているようですが、於大公園では適度に個体数を維持しているようで、2023年4月13日に幼虫を、2022年2月19日に成虫を見ています。
幼虫に関しては、今回はアケビ科アケビ属のアケビで前回はモクセイ科イボタノキ属のミヤマイボタの葉を食べており、名前にクワとついていますが、実はかなり広食性でクワ以外も結構いける口のようです。
クワトゲエダシャクの成虫
幼虫は背中のトゲトゲがカッコイイですし、成虫は羽のたたみ方が独特でとても面白く、見ていて飽きない蛾ですね。
2025-04-20

待合小屋の花壇でシラー・ペルビアナの花が咲いていました。
ツルボ 2024-09-14
オオツルボとも呼ばれるようで、キジカクシ科ツルボ属の植物だそうです。薬草園の池にいるツルボと近い仲間のようですが、大きさや立ち姿が全く違っているのでそうは見えません。
シラー・ペルビアナ
中心部の紫色の蕾には緑色の角が生えていて、面白い形をしています。
個人的には、花が開く直前、蕾だけの時の花茎が一番カッコ良いのではないかと思っています。

4月16日、スモークツリーの葉が出始めました。
いきなりいかにも葉っぱ、という形の葉を出していますが、色が真っ赤です。
見ていると、つい、引き込まれてしまう系の赤ではないでしょうか。

やはり4月16日、ヤマツツジの蕾が今にも開きそうなくらい色づいていました。
ヤマツツジ
こちらも綺麗な赤色をしています。
ちょっと朱色がかった感じが目を惹きます。

待合小屋付近の水路の中で、ネムノキが発芽していました。
発芽してまもないネムノキの葉は、普通の偶数羽状複葉ですね。
このあと、今一枚に見えている小葉の部分がさらに細かく分かれた形の、2回偶数羽状複葉が出てくるのでしょう。
それが、何枚目の葉からなのか決まっているのでしょうか。ちょっと気になります。
ネムノキ
もしかすると、左の写真のものが始まりかもしれません。
そうだとすると、本葉の2枚目から、ということになりそうです。
2025-04-11

4月8日の記事で、種名スミレが数を減らしている様なことを書きましたが、そうでも無いかも知れません。
件のウメの下、次々花を咲かせていました。
ノジスミレたちのように領域を拡大する様子はほとんど見られませんが、ウメの下では着実に数を増やしているようです。
タネ飛ばしの飛距離が違うのでしょうか。それとも、アリなどを呼ぶためのエライオソームの性能が不十分ということがあったりするのでしょうか。
アリアケスミレ
ところで、アリアケスミレは今を盛りと薬草園で咲き誇っています。
ヒメスミレ
ヒメスミレもまだ花盛りです。
中池の端でも小ぶりな花を咲かせていました。
ちなみに、ヒメスミレと一緒に写っている縁がギザギザした赤茶けた葉はおそらくフユノハナワラビです。面白い形をしたシダの仲間で、ここは昨年11月29日以来私が見つけた3つ目のハナワラビの仲間の生息地です。

アケビが花盛りです。
薬草園の小屋の脇にはアケビとミツバアケビとムベがいますが、皆さん花を咲かせています。
独特の形状が面白くてつい見入ってしまいます。
ミツバアケビの雄花
ムベの花
一見するとムベとアケビは花の形が全く違って見えますが、よく見ると中心の蕊の様子はよく似ています。
アケビ科のこだわりだったりするのでしょうか。
2025-04-08

薬草園の池から薬草園に上がる階段の脇の石垣の隙間にオニタビラコがいます。
オニタビラコ
石垣の作る鉛直面に、普通に水平な地面に広げるようにして葉を広げていました。
花茎は重力の影響を受けて上に伸びています。葉の方は自分たちは重力など関係ない、というような顔をして壁に張り付いています。
が、よく見ると水平方向に出した葉は、少し捻って上を向いています。
これは、重力の向きはどうでも良いけれど、光は欲しいので、本当はすべての葉の表面を上に向けて日の光を最大限浴びたいのだけれど、できない事情を抱えて今の状態にいる、ということなのでしょうね。
ところで、花茎がしっかり上に向かっているということは、やはり重力の影響を受ける根は石垣の隙間を突いて下に向かっていることでしょう。邪魔するもののない空間に伸びる花茎と違って、障害物だらけの地中を進む根っこがどんな形に伸びているのか、ちょっと見てみたい気がしています。

今日ようやく種名スミレの花を見ました。そもそも花期が遅い種属ですが、今年はいつにも増してゆっくりのような気がします。
ウメの樹の根元という何かと過酷な環境にいるので、数を減らしているように見えますが、なんとか生き残っているようです。
同じ場所にいるノジスミレは、ウメの根元から遠ざかる方向に株を増やして、今では梅見の丘全域に分布を広げつつありますが、スミレはそうはしないようです。
スミレくんの思いはどこにあるのか、知りたいところです。

薬草園のとある土留めの横にジグモが集団で巣をかけていました。
この場所には、写真に写っているものの他にも10戸ほどの巣がかかっています。
2メートルほどの幅のこの場所に特に集中しているのには何か理由があるのでしょう。
獲物の多さ、雨よけの具合、水捌けの良さ等々、何か利点があるのでしょうが、一見しただけでは全く分かりません。
気になりますね。

オニバス池の中に、ハハコグサを中心としたお花畑ができています。
ハハコグサとテントウムシの幼虫
近くで見ても綺麗ですが、ある程度の面積に広がっている様子も黄色い絨毯のようで、とても綺麗です。
このあと刈られて、秋まで水没しますが、毎年この時期になると出てきます。
しかも、面積を拡大しつつあるようです。たくましいですね。

カキの樹の若葉が出てきました。
美味しそう、の一言ですね。
2025-04-02

リキュウバイの花が咲き出しました。
リキュウバイの花
花の中、雄蕊や雌蕊の並び方がちょっと凝っていて面白い形をしています。
雄蕊は5枚の花弁の付け根に3-5本づつ固まって5組ついていて、雌蕊は花弁の間から覗く5枚の萼片に対応して5本出ています。
5という数に強いこだわりを見せながら要素を360/5°ずらして5の倍数の10を潜ませたりと、幾何学的にデザインされているようです。

ハナズオウの蕾がかなり膨らんできました。
咲く前から赤紫色が目立ってきていて、今か今かという感じです。
ハナズオウの葉芽
葉芽も出始めていました。
こちらも一部赤みがさして、とても可愛らしい様子です。

4月に入ってようやくアリアケスミレの花が咲き出しました。
これからしばらくの間、まだ咲いている他のスミレたち共々、可愛らしい花が見られますので探してみてください。薬草園にいます。
この記事に関するお問い合わせ先
このはな館(於大公園内)
〒470-2102 愛知県知多郡東浦町大字緒川字沙弥田2-1
電話番号:0562-84-6166
ファックス:0562-84-6292都市整備課 公園緑地係
更新日:2025年05月29日